外資系の現場で最も恐ろしい瞬間。 それは、英語が通じないことではありません。
沈黙によって、自分の存在自体が抹消されることです。
プロダクトマネージャーとして働き始めた当初、私は英語初心者のまま本社との会議に放り込まれ、何度もシステムフリーズを起こしました。
今日は、私が実際に味わった「無視・ため息・スルー」という屈辱的な体験と、そこから這い上がるために見つけた会議室での生存ルールを共有します。
英語力不足に悩むあなたに伝えたいのは、流暢に話す必要はないが、そこにいることは証明しなければならないという事実です。
システムフリーズ:頭が真っ白になる恐怖
最初の頃、会議に出るのが本当に苦痛でした。
入念にスクリプトを準備し、「これならいける」と臨んでも、本番では何一つ機能しません。
耳では相手の英語が聞こえているのに、脳が処理を受け付けない。雑音のように通り過ぎていく。 心拍数は急上昇し、口は乾き、冷や汗が止まらない。
「どうしよう」 と焦れば焦るほど、事前に用意したフレーズはメモリから消去され、完全なフリーズ状態に陥ります。
このわずかな数秒間の沈黙の間に、参加者の表情が曇っていくのが分かります。自分の評価(クレジット)が、音を立てて崩れていく瞬間です。
ユーザー離脱:ため息と、PC画面を見る人々
「こいつはダメだ(使えない)」
そう判断された瞬間、参加者の反応は残酷なほど正直です。
ある時、私がしどろもどろになりながら質疑応答を終えた後、あるリーダーが「深いため息」をつきました。
怒りではなく、諦めです。「こいつに何を聞いても時間の無駄だ」という明確な意思表示でした。
さらに心を折られたのは、無関心です。 私が必死に説明している最中、数人は露骨に目線を外し、カタカタと別の作業(メール処理)を始めました。 1人や2人ではありません。
ああ、私の出力(アウトプット)は、彼らにとってノイズでしかないのだ。 会議が終わった後に残るのは、達成感ではなく、自分自身の存在意義さえ見失うような徒労感だけでした。
ルーティング除外:質問すら飛ばなくなる絶望
そして、最も屈辱的だったのが、質問のパス(回避)です。
あるレビュー会議で私が説明をしたにもかかわらず、その後の質疑応答では、アメリカ人の参加者は私ではなく、隣にいた日本人の上司(英語ができる)に向かって質問を投げ続けました。
「これはどういうことだ?」「根拠はあるのか?」 本来なら担当者である私に聞くべき内容です。しかし、彼らの視界に私はもう入っていません。
「あなたには聞く価値がない(ルーティング先として不適切)」 そう突きつけられた気がしました。
現場では質問が飛んでくること自体が「相手にされている」証拠であり、質問されないのは無視と同じです。
生存戦略:英語力ではなく「ステークホルダー分析」で戦う
何度も屈辱を味わいながら、私はあることに気づきました。
彼らがイラついていた原因は、私の英語が下手だからではなく、欲しい情報(要件)が返ってこないからだったのです。
そこで私は、英語力を鍛える方向を一度捨てました。
私は英語を話すことに必死で、相手(ユーザー)が誰かを見ていませんでした。 そこから私は、戦い方を「英語」から「ステークホルダー分析」へとシフトさせました。
- トップマネジメント:
- 細かい計算や言い訳には興味がない。欲しいのは「目的・要点・結論(Bottom Line)」のみ。
- エンジニア:
- ふわっとした話嫌を嫌う。「実験条件・根拠・データ(Evidence)」を欲しがる。
- マーケティング:
- 数字と共に「ストーリーの説得力(Narrative)」を重視する。
相手が誰で、何を求めているか(Requirements)さえ分かれば、中学レベルの単語を並べるだけでも会話は成立します。
「I’ll confirm later」は逃げではない
そして、もう一つの武器は即応(Quick Response)です。
答えられない時は、沈黙して固まるのではなく、即座に「確認して後で返す(I’ll confirm and get back to you.)」と宣言する。
沈黙より、非同期処理(後で返す)への切り替えの方が、ビジネスでは遥かに信頼されます。
結論:若いうちの失敗は「技術的負債」ではなく「資産」
今、私は英語初心者のPMにこう伝えています。 「失敗するなら、期待値の低い今のうちにやっておけ」
私が当時の失敗を許されたのは、まだ若く、マネージャーの肩書きがなかったからです。 もし、管理職になってから初めてこの沈黙の恐怖に直面していたら、信頼回復は不可能だったでしょう。
外資の現場で生き残るために必要なのは、TOEICのハイスコアではありません。恥をかいてでも、沈黙を破る勇気と、相手のニーズに合わせて情報を渡す力です。
安全な自習室から出て、恥をかきましょう。 その冷や汗と屈辱の数だけ、あなたの生存能力は確実に上がっていきます。
▼ 忙しいパパ・ママのための「生存戦略」と「学習法」
- そもそも、なぜそこまでして英語環境に身を置くのか?



